地産地消などを支援する日本郵便の新配送サービス「ぽすちょこ便」が、全国に先駆けて山形県鶴岡市で始まった。郵便車両の空きスペースを活用し、配送区間を地域内の郵便局間に限定することで、従来の「ゆうパック」と比べて約4分の1の低料金(1ケース290円)を実現した。当面の利用者は果実生産者らに限るが、ゆくゆくは一般の利用も検討するという。
新サービスは9月21日から鶴岡市内41郵便局のうち15局で取り扱い開始。郵便車両の空きスペースには限りがあるため、差出人は専用のウェブサイトで利用者登録をして、空いている配送区間と日時を予約する必要がある。その上で配送品を郵便局に持ち込み、配送用ケース(横47センチ、奥行き29センチ、高さ約23センチ)に移し替え、料金を支払う。
受取人は、配達先の郵便局と配達時間の予約情報をLINEやメールで差出人から受領し、郵便局に出向いて配達品を受け取る。
同社によると、新サービスのきっかけは、果実の販路拡大や規格外品の活用に取り組む鶴岡市から、市内の生産者と飲食店間の配送などについて「市職員が担うのは負担が大きい。何とかならないか」などと相談を受けたことだった。
こうした背景に加え、予約枠が1日50ケース前後と限られるため、開始時点での利用者は生産者に限定したという。
市内の果樹農家、斎藤司さん(60)は開始当日の午前、梨やリンゴを最寄りの郵便局に持ち込み、ぽすちょこ便を利用して4ケース発送。「少量の果物を手間をかけず送ることができて助かる」と話した。これらは別の郵便局に運ばれ、その一つはこの日午後、パン店の関係者が受け取った。
日本郵便は「スーパーと連携すれば、買い物支援にも適用できる。地域限定の配送サービスとして全国に展開し、社会課題の解決にも貢献したい」としている。
新サービスの問い合わせは同社お客様サービス相談センター(0120・23・28・86)。(清水康志)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル